vantage
vantage

ドル買い優勢、焦点は米財務長官会談か

ドル買い優勢、焦点は米財務長官会談か

ドル買い優勢、焦点は米財務長官会談か

掲載日:2026.05.11

NEW

本日のポイント

  1. 1 米・中古住宅販売件数
  2. 2 米・3年債入札

8日のNY市場では、小幅な値動きとなった。米国とイランの停戦が維持されるとの見方からリスクオフのドル買いが後退した一方、中東情勢への警戒感はなお残っており、主要通貨は方向感に欠ける展開となった。米4月雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を上回り、労働市場の底堅さが示されたが、為替相場の反応は限られた。こうした中、ドル円は156円台半ばを中心に推移し、ユーロドルは1.17ドル台後半での値動きとなった。全体としては、ドル売りがやや優勢ながらも、一方向に大きく傾く展開ではなかった。

本日の東京市場では、ドル買いが優勢となった。トランプ米大統領が米国の提案に対するイランの回答を批判したことで、朝方は有事のドル買いが強まった。もっとも、その後は追加材料に乏しく、来日中のベッセント米財務長官の発言を見極めたいとの見方もあり、午後は小動きとなった。こうした中、ドル円は朝方に156円半ばから157.1円台へ水準を切り上げた後、午後は同水準での狭いレンジ推移となった。ベッセント財務長官は12日に高市首相や片山財務相と会談する予定で、訪日中の発言が為替介入への思惑やドル円の上値を左右する可能性がある。

本日のポイントは、23:00の米・4月中古住宅販売件数と、26:00の米・3年債入札だ。中古住宅販売件数は、米住宅市場の実勢や家計の購買力を確認するうえで注目される指標だ。前回3月分は前月比3.6%減の年率398万件と、2025年6月以来の低水準となっていた。住宅ローン金利の高止まりや消費者信頼感の低下が重しとなっており、今回の4月分で持ち直しがみられるかが焦点となる。結果が予想を上回れば米住宅市場の底堅さが意識されてドルを支える可能性がある一方、弱い内容となれば景気減速懸念を通じてドル売り材料となる余地がある。また、26:00には米・3年債入札が予定されている。米財務省は5〜7月期の四半期定例入札で、3年債580億ドル、10年債420億ドル、30年債250億ドルを予定しており、3年債入札は短中期金利の反応を確認する材料になりやすい。主要な米経済指標が限られる日だけに、応札が弱ければ米金利上昇を通じてドルを支える可能性があり、逆に無難に通過すれば相場への影響は限られやすい。さらに、明日に予定されているベッセント米財務長官と日本政府・日銀関係者との会談を控え、為替を巡る発言への警戒感も意識されやすい。

加藤健一

著者:加藤健一

著者:加藤健一

大手証券会社でリサーチ業務に10年以上従事した後独立し、現在はFX・暗号資産・株式市場を専門とするマーケットストラテジストとして活動。為替・株価・仮想通貨の値動きに影響を与える経済指標、中央銀行の政策、地政学リスク、投資家心理といった要素を多角的に読み解き、タイムリーな市況レポートを発信している。