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円売りドル買いが強まる

MARKET REPORT

マーケットレポート

円売りドル買いが強まる

円売りドル買いが強まる

掲載日:2025.09.02

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本日のポイント

  1. 1 欧・8月消費者物価指数(HICP)速報値
  2. 2 米・8月ISM製造業景況指数

1日のNY市場は米国の祝日で休場。ドル円は欧州勢参入後に147円台まで上昇した後、147.1円台〜147.2円台で小動きとなった。ユーロドルは欧州勢参入後1.170ドル〜1.711ドル台で方向感なく推移。17:00に発表された欧・8月製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回ったことでユーロ買いが強まり、一時1.1736ドルまで上昇した場面もみられた。18:00に発表された欧・7月失業率は市場予想通りだったものの、6月失業率が6.2%から6.3%に上方修正された。直近高値付近だったことも相まってユーロドルは一時1.170ドルを割り込むまで反落した。

本日の東京市場では、円売りドル買いで推移。9:00からドル買い優勢。10:30の氷見野良三日銀副総裁の挨拶が始まると同時にさらにその傾向が強まり、147円台後半まで値を上げた。同氏の挨拶では、利上げに踏み込んだタカ派的な内容になるとの期待感が強かった中で、新しい話は出ず、ドル買い円売りで反応したとの見方がされている。ドル円はその後も上昇を続け、15時台には148円を超えている。ユーロに対してもドルは強く、東京市場では1.1687ドルの安値をつけた。16時台では一層ドル買いが強くなっている。

本日の指標は、18:00に欧・8月消費者物価指数(HICP)の速報値が発表される予定。HICPはユーロ圏における購買傾向の変動およびインフレを測定する重要な手段で、金融政策を決定する上で参考にする重要指標とされている。今回の市場予想は前年同月比2.0%で3ヵ月連続の横ばいとなる見込み。コアHICPは2.2%と伸び幅の低下が予想されている。結果が予想を上回れば、年内利下げ期待の後退でユーロ買い、反対に予想外に弱い結果となった場合は、年内利下げ期待の高まりでユーロ売りが生じる可能性があることに注目したい。また、23:00には米・8月ISM製造業景況指数が発表される。同指標は製造業における景況感を示す指標で、米国の主要指標の中で最も早い第1営業日に発表されることから、景気の先行指標として注目されている。指数が、50を下回ると景気後退、50を上回ると景気拡大を示す。今回の市場予想は49.0。50を下回るものの、前回の48.0から上昇する見込み。本日ドル買いが強くなっている相場環境の中で発表される同指標に注目が集まる。

加藤健一

著者:加藤健一

著者:加藤健一

大手証券会社でリサーチ業務に10年以上従事した後独立し、現在はFX・暗号資産・株式市場を専門とするマーケットストラテジストとして活動。為替・株価・仮想通貨の値動きに影響を与える経済指標、中央銀行の政策、地政学リスク、投資家心理といった要素を多角的に読み解き、タイムリーな市況レポートを発信している。